さて読者のみなさん、下記の赤字で書いた文を読んでどのような印象を持たれるだろうか?

福島第一原発事故から出た放射性物質による東京都民への被ばくの量は、原発事故が起きなかった場合に比べて10%以上も増加していることが分かりました。
また、東京都が事故直後に食品の出荷制限や乳児用のボトルの水を配布するなどの措置を取ったことについては、措置を取らなかった場合に比べて被爆量の低減効果は、せいぜい2分の1から3分の1程度にとどまると推定されるとのことです。

なんか漠然とした不安を感じないか?

では一方で、下記の青字で書いた文ならどうだろう?

福島第一原発事故から出た放射性物質により東京都民がこの1年間で追加して受けた被ばく量は、事故前の通常の生活に比べて数分の1から10分の1程度と推定されることが分かりました。
また、東京都が事故直後に食品の出荷制限や乳児用のボトルの水を配布するなどの措置を取ったことについては、29%から44%被ばく量を低減させる効果があったと推定されるということです。

なんとなく、安心できるような気もする??


もう一度双方を、よーーーーーく読んでいただきたいのだが、青字の文と赤字の文は、論理的には全く同じ事を言っている。違うのは「表現の仕方」だけだ。それにしても印象は随分異なるが。

赤字文も青字文も、別に私が勝手に創作したものではなくて、今日3月12日の「東大のプロジェクトチーム」とやらが発表したことを伝える下記のマスコミ記事を元にしたもの。
(この種のニュース記事は、しばらく経過すると消されてしまうので、イメージキャプチャも取っておいた。)


MSNニュース





テレ朝ニュース

テレ朝ニュース


いずれの記事でも、上記青字のような「安心させる」書き方をしている。果たして本当に安心して良いのだろうか?
東大が発表したこれらの数値データが、不安を感じるべき値なのか、安心して良い値なのかを判断できる科学的知識を、私は残念ながら持っていない。それでも、日本語の文章の不自然さを感じ取ることならできる。
元記事にある「この1年間で追加して受けた被ばく量は、事故前の通常の生活に比べて数分の1から10分の1程度」などと言う表現は、まず第一印象として理解しにくく、それゆえに胡散臭さを感じてしまう。



この種の「公式発表」の場合、多かれ少なかれ「印象操作」のようなことが行われるのは普通だろう。それを聞く側も、「言葉の裏」を吟味するリテラシーは求められる。
ただそれにしても、今回の東大プロジェクトチームの「印象操作」は稚拙に過ぎるが。