Living in the Flat World

「世界はフラットになっている」と考えれば、世の中の変化も少し違った見方ができるはず!その考え方のもと、ITを中心に日常生活から世界のニュースまで幅広い題材を取り上げるブログ。

タブレット

iPadのビジネス利用 ~VBで作った「レガシー業務アプリ」をiPadで動かす~

言うまでもなく、AppleのiPadは素晴らしいデバイスである。iPadの素晴らしさを語ろうと思えばいくらでも語れるのだが、既にWeb上で多く語られているので、あえて私が追加する必要もないだろう。

今日のエントリでは、この軽くて、薄くて、美しくて、操作性が良くて、十分な性能があって、バッテリの持ちが良くて、それでいて手頃な価格のこのデバイスを、ビジネス分野においてもっともっと有効に、かつ簡単に活用する方法について紹介する。具体的には、いわゆる「業務アプリ」の分野で、iPadを活用する方法について書いてみたい。

【そもそも「業務アプリ」って何?】
「業務アプリケーション」とか、それを略した「業務アプリ」とか言う用語は、日本のIT業界で働いていれば必ず耳にするほどよく使われる用語だ。ところが改めて調べてみると、正確な定義がどうも定まっていないらいしい。Googleで「業務アプリケーション」と検索しても、その定義を明確に説明しているページはなかなか見つからない。(もしご存知のかたがいたら、是非コメント欄かメールにて教えてください)
ちなみに、「業務アプリケーション」のGoogle検索でトップに表示される(2012年2月5日現在)のは、こちらのブラックユーモアたっぷりのページである。鋭く本質を捉えているので、是非ごらんあれ。

さて、私が理解している範囲で「業務アプリケーション」とは、"特定企業"の"特定業務"での用途(例えば「コンビニエンスストアの在庫管理用途」)のために個別開発されたアプリケーションのことである。反対の意味を持つのが「パッケージアプリケーション」で、これは例えば勘定奉行などのように、広く一般に売られているアプリケーションのことを言う。世の中には、特定企業での利用だけのために個別に開発された「業務アプリ」が、おそらく国内だけでも何千種類もあるのではないかと思えるくらいたくさんあるのだ。

「業務アプリ」には興味深い特徴もいくつかあって、外見的な特徴として、普通に売られているパッケージアプリケーションとはかなり趣が異なるGUIを持っている。典型例が下図だ。
典型的な業務アプリ
(この図はGoogleイメージ検索で「業務アプリ」と探して見つけたもの)

たいていはVisual Basicを使って造られており、開発コストを抑えることと、ユーザ操作を単純なものにすることを狙って、凝ったGUIは使われず、「大きな字の書かれた大きなボタンによる操作」が好まれてよく使われている。

また、これもパッケージアプリケーションとは違って、「汎用性」はあまり考慮されていない。そのため、「Windows XPでは問題なく動作するが、Windows 7 だと問題が出る」と言うようなことがしばしば起こり、Windows OSのライフサイクルに担当者は悩まされることになる。


【業務アプリでのiPad利用の可能性】
さて、こんな「業務アプリ」であるが、携帯性と操作性を両立させたiPadのようなデバイスとの相性が良い業務は、相当数ありそうだ。すぐに思いつくのが在庫管理業務であるし、こちらのページでは、業務アプリにiPadを活用した「成功事例」が、多数紹介されている。

ところが、実際に「業務アプリ」でiPadを使うには、かなりの難題を克服する必要がある。

まず第一に、現在使われているほとんどの「業務アプリ」は、Visual Basicで造られたWindowsアプリケーションであり、当たり前と言えば当たり前だが、そのままではiPadでは動かせない。普通に考えれば、iPadを利用するためには、アプリケーション自体を作り直す必要があるが、これはほとんどの企業にとっては不可能に近い話だ。Windows XP からWindows 7への変更でさえ、多くの企業が四苦八苦しているのが現状であるのに、iPadのような根本的に異なるアーキテクチャのプラットフォームへの移行など、想像だにできないだろう。

仮に百歩譲って、ある企業がiPad用の業務アプリケーションの開発を決断したとしても、それは平坦な道のりではない。iPhone/iPadアプリケーションを造れるプログラマの絶対数は、まだまだWindowsプログラマの数には遠く及ばないはずで、開発を請け負ってくれる業者のほうも需要予測ができずに手探りの状況らしい。

【解決策:Citrix Receiver】
別にiPad用のアプリをわざわざ開発しなくても、今のVisual Basicで作ったWindowsアプリケーションのままで、「端末デバイス」としてのiPadは十分に利用可能だ。それを示すのが、下記のデモ動画。



これを使えば、「Windows XPで動作するアプリケーション」であれば、今すぐにでもiPadを端末デバイスとして利用可能だ。

技術的なバックグラウンドについては、次回のエントリにて。


国産タブレットも、今ならまだ間に合いますよ

昨日のエントリでは、Appleの電子教科書戦略を、ビジネスモデルの観点から見て相当に磐石なものであることを説明した。では、Androidタブレットを使って、この分野でAppleに競争を挑むことは出来るだろうか?

結論:ほとんど勝算はないだろう。

かつて「AndroidタブレットがiPadにどうしても勝てない3つの理由」と言うエントリに書いた理由が、電子教科書の分野にもそのまま当てはまる。特にこの分野では、iPadのサードパーティ製品(この場合は教科書コンテンツ)が質・量両面で既に圧倒しており、Androidタブレットが食い込む余地はほとんど残されていない。

コンテンツを作成する立場で考えて欲しい。
Appleが提供したビジネスモデルに便乗さえすれば・・・

1) 素晴らしいコンテンツ作成ツールが無償で提供されていて、
2) デファクトと言って良いほど対象プラットフォームが普及していて、
  (売れる対象がたくさんある)
3) 代金を回収する仕組みがしっかり用意されていて、
4) 機種ごとの違い(画面サイズなど)をいちいち考慮する必要がない。

現状では、これらAppleの利点を無視して、あえてAndroidベースで苦労してコンテンツを作る理由など全く無い。

Appleの優位点として挙げた上記 1)~4) のうち、ひょっとしたら 1)と3) については、追いつくことは「まったく不可能」ではないかもしれない。~ それでも相当難しいし、いったい誰がその仕組みを作るのか? Googleが作ってくれるのだろうか?~ だが、2)と4) に関しては、Android陣営がAppleに追いつくことは、もう絶望的と言ってよい。特に2)が最重要で、これこそがコンテンツメーカーを引きつけている魅力に他ならない。量を捌くことによって売上げを確保できれば、3)で徴収される「Appleへの上納金」も、大したことではない。

結果として、
コンテンツが充実する → プラットフォーム(iPad)が売れる 
 → さらにコンテンツが充実する → さらにプラットフォーム(iPad)が売れる
  → 繰り返し
の好循環が生まれ、ますますAppleの優位は磐石となるのだ。

----------------
だがそれでも、Androidタブレット陣営(特に日本メーカ)が勝てる分野は残されている!

それこそ今日のエントリの本題なのだが、Appleの電子教科書は、(少なくとも現時点では)日本市場には全く手を付けていない。日本の教科書の「検定」の仕組みや、独特の流通には、さすがのAppleも手が出せなかったのだろう。つまり、日本の学校の教科書の電子化に限って言えば、まだまだ国産タブレットにも十二分に勝算があるのだ。

1ヶ月前のエントリで、AndroidタブレットがiPadに勝つためにはニッチマーケットで戦うしかなく、学校での利用はその一つだと書いた。その時点では私も、ここまでのレベルの教科書の電子化は想定していなかったが、具体的なモデルはAppleが示してくれた。このアイデアはアイデアとしていただいてしまおう。

これからの進め方としては、各タブレットメーカーがそれぞれ独自に動いてもダメ。役所(文部科学省など)や出版社も巻き込んだ上で、国産メーカーが足並み揃えて共同で共通基盤を作っていかなくてはいけない。メーカー同士で争っている場合ではないのだ。具体的には、メーカー間での共通仕様の作成や、コンテンツ作成ソフトの製作、役所や出版社にも正しく利益を分配できる仕組み作りでは、足並みを揃えないと前に進まない。

それでも、出版社や印刷業者はもちろん役所の中からも相当な抵抗があることが予想される。そんな場合は、その人たちにも「今はそんなことを言っていられる場合じゃない」ことを訴えよう。ぐずぐずしていると、国内の教科書出版も教育ITインフラも、黒船(Apple)に侵略されかねないのだ。Appleが米国での教科書の電子化を華々しく発表してくれたおかげで、これら抵抗勢力の勢いも多少は弱まるのではないか。

例えば富士通さん、Exileをキャラクターに使ったり、個別に凄い機能を備えたところで、そうそう簡単にiPadの牙城は崩せないと思います。



その理由は、右メニューの私の過去のエントリのうち「Android」と言うカテゴリのエントリをお読みください。


それよりも、まだAppleが手を付けていない、日本の教育市場をおさえるべきだと思いませんか?


 

AndroidタブレットがiPadに勝つためにすべきこと<その4>

一昨日昨日のエントリで、さも「自分オリジナルのアイデア」であるかのように自慢した「Androidベースの家電統合リモコン」であるが、無知とは恐ろしいもので、とっくの昔に商品化されていることが判明した!!
Alimo

Alimo
少なくとも外観的な形状は、ほぼ私が考えていたとおりのもので、実に素晴らしい製品だと思う。

ただしさまざまレビュー記事数々を読んだ限りでは、改善の余地がまだまだありそうだ。

・改善余地その1:操作対象の家電機器が限定的
こちらが操作可能な家電製品の一覧だが、特定の家電製品の赤外線リモコン機能が予め組み込まれていて、それら特定家電に対してなら「買ってすぐに使える」ことは大きな魅力。
その一方で、対象家電はいわゆる「オーディオビジュアル機器」に限定され、エアコンや照明などの「非AV機器」は対象外になっている。せめて家電付属のリモコンの赤外線信号を「学習」することで、操作対象の家電機器をあとで広げられるようにして欲しい。複数のリモコンを「たったひとつ」に集約できないと、統合リモコンの存在の意味が大幅に薄れてしまう。

・改善余地その2:まだまだ「割り切り」が足りず価格が高い
他のタブレットのような薄型を追求せず、室内で使うことだけに割り切って、かなり厚めの形状にしたことは大いに評価できる。それでもまだ完全には「リモコン中心の利用」とまでは割り切れておらず、余分(と思えるような)機能も満載している。そのためか価格がまだまだ高いことが残念。実売価格は34,000円程度らしいが、なんとか1万円前後にできないものか?GPSセンサやカメラ、HDMI端子などを思い切って削れば、まだまだコストは下げられると思うのだが。

・改善余地その3:いろいろな意味で「普通のひと向け」でなく「マニア向け」
このような先見の明のある製品を商品化したアイ・オー・データ機器さんに対しては、賞賛してもし過ぎることはない。それでもやはり大手家電メーカに同様な製品を作って欲しい。それが「普通のひと」に使ってもらって、普及させるための第一歩になるはず。そして機能面でも「高機能を求めるマニア向け」ではなく、最低限の操作しかしない「一般のユーザ向け」の製品にしてほしい。


くどいようですがが、国内の家電メーカさん、具体的にはPanasonicさん、日立さん、東芝さん、三菱電機さん、ソニーさん、是非「Androidベースのリモコン専用機」を作ってください。同じようなものは既にアイ・オー・データ機器さんが出されていますし、改善するべきポイントも明確です。きっと売れるはずですし、将来の汎用Androidベースタブレット普及の足がかりにもなるはずです。


AndroidタブレットがiPadに勝つためにすべきこと<その3>

昨日のエントリで、Androidベースの家電統合リモコンの提案をしたところ、Facebookを通じて、早速いくつかのコメントをいただいた。

コメントによってはじめて知ったことは「タブレット/スマートフォンを使った家電リモコンは、すでに東芝が一部のオーディオビジュアル機器用にアプリをリリース済み。」だったと言うこと。
こちらが東芝の紹介ページ。
東芝RZタブラー

AV機器の操作だけではなく、録画したテレビ番組をタブレット上で見られたりと、相当に多機能になっている。なるほど、これで少なくとも技術的な実現性に関しては何の問題も無いことは確認できた。

もうひとつコメントとしていただいた意見は、「リモコンとして使うなら、リモコンとしてふさわしい形状が大事では?」と言うもの。この意見には私も大賛成。少なくとも、現在リリースされているタブレットやスマートフォンは、形状的にはリモコンとしてふさわしくないと思う。昨日のエントリでも書いたが、現状のタブレット/スマートフォンは「持ち歩き」を意識するがために、リモコンとしては扱いにくい。
テーブルなどに置いてあるリモコンを「さっと掴む」ための掴みどころが無いのはストレスを感じるだろう。

この形状の課題とも関連するが、上に紹介した東芝のリモコンアプリは「技術的実現性の確認」の確認にはなったものの、私が提案したリモコンのイメージとはほど遠い。理由は2つある。
理由1つ目。複数メーカ、複数ジャンルの製品の操作が一括で出来ないこと。
東芝のリモコンアプリは、あくまで「東芝のAV機器」がその中心にあり、タブレット/スマートフォンは、あくまでその1オプションに過ぎない。私が欲しいもの、そしてきっと市場も欲しがっているであろうものは、あくまで「1つのリモコンで複数メーカ、複数ジャンルの製品の操作が一括でできる」と言うこと。
そのためには、あくまで「統合リモコン」がすべての家電の中心にあるようにして欲しい。また、操作もあくまで「機械オンチ」な人でも簡単に扱えることを第一に考えるべき。東芝のリモコンアプリは、見るからにマニア向けになっている。液晶タッチパネルを使えば、物理ボタンのものよりも簡単操作に徹したGUIを設計しやすいと思うのだが。

理由2つ目。「リモコン専用デバイス」でないこと。
上にも書いたが、汎用的な利用を前提に設計されたタブレット/スマートフォンは、形状的にリモコンには適していない。では、どのような形状がリモコンとしてふさわしい形状なのか?
一般的な家電リモコンの多くは、こんな感じ。
普通のリモコン
ただ、この形状は「単一製品のリモコン」であることと「物理的な押しボタン」を前提としているために、タッチパネル操作には適していないと思う。

私のイメージにもっとも近い存在がこれ。
カラオケのリモコン
カラオケボックスに常備しているリモコンだが、これがもっともイメージが近い。ただちょっとばかり重過ぎるのが難点か。

液晶タッチパネルではないが、手で持たずに「机に置いて」使うことを前提としたリモコンは、ソニーが「おき楽リモコン」として既に商品化済み。
ソニー「おき楽リモコン」
通常のリモコンのように赤外線(光に近いので「向き」によっては操作できない)を使わずに、電波を使っているため、どんな向きでどんな場所に置いてあっても操作ができることがポイント。

次世代の任天堂Wiiも、リモコン(コントローラー)はタブレットに近いデザインになるらしい。
Wii U コントローラ

これらはいずれも、汎用のタブレット/スマートフォンとは異なるデザインになっているが、いずれも「リモコンにふさわしい形状」と言えるはず。これらの特徴をうまく組み合わせれば、良いものができるのではないだろうか。

さらにその後にWebで調べてわかった良いニュース。
Androidベースの家電統合リモコンを作るためには、てっきり「家電側の無線LAN対応が必須」だと思っていたのだが、Androidデバイスの中には(一般のリモコンと同じ)赤外線通信の機能を持ったものがあって、赤外線リモコンの「エミューレータ」として動作させることも可能らしい。こちらがその情報の出所。

これならもはや何の技術的な障害など無いではないか!

繰り返しになりますが、国内の家電メーカさん、具体的にはPanasonicさん、日立さん、東芝さん、三菱電機さん、ソニーさん、是非「Androidベースのリモコン専用機(リモコンとしてふさわしい形状のもの)」を作ってください。きっと売れるはずですし、将来の汎用Androidベースタブレット普及の足がかりにもなるはずです。


AndroidタブレットがiPadに勝つためにすべきこと<その2>

6日前のエントリ(AndroidタブレットがiPadに勝つためにすべきこと)で、Androidタブレットの起死回生策として、次の2つを提案した。
1) タブレットのマスマーケットを当面諦める
2) 当面は携帯電話に注力する

今日は3つ目の提案であり、おそらく大本命となるであろう提案をさせていただく。これは単なる「Googleとその他大勢のAndroid陣営」ではなく、日本の家電メーカにとって良い案になると信じている。さらには私たち消費者もその恩恵を十分に受けられるものになるはずだ。ひょっとしたら日本の家電メーカは既に開発を始めているかもしれないが・・・

■起死回生策その3 ~家電統合リモコン端末をAndroidベースで作る~
もう結論を先に書いてしまった。イメージ的には下のような図のデバイスを作るべきだ。
Androidベース多機能リモコン

皆さんもテレビもビデオも証明もエアコンも電話(インタフォン含む)もFAXもオーディオコンポもお風呂も、全ての家電がスマートフォン並の操作性で一括して操作できるリモコン装置欲しくないですか?私は物凄く欲しい!!

だいたい家庭の中にはリモコンが溢れかえっていて、実にうっとうしい。
数あるリモコン
さらには、それらは大抵異なるデザインポリシーで、操作性に統一感は無いし、並んでいても美しくない。これらのリモコンが、たった1つのデバイスで、スマートフォンライクなGUIで操作できたら、さぞかし素晴らしくはないか?

技術的な実現性は、それほど難しくはないだろう。
全体の統一規格として遠隔操作のためのインタフェース(おそらく無線LAN)を定めたうえで、各家電デバイスが個別にそのデバイスを操作するための「Androidアプリ」を提供すればよい。

例えば「A社のエアコン機種Z」は、Android汎用リモコンと通信できるインタフェース(無線LAN)を装備するとともに、そのエアコン機種Zの機能をフルに活かした操作が可能な「機種Z用Androidアプリ」を提供する。そのアプリをインストールしたAndroid端末は、それだけでそのエアコン機種Zの機能をフル活用可能なリモコンになる。操作はハードボタンではなくてGUIでの操作ができて、もちろん取扱説明書代わりの「ヘルプ」機能も充実している。

これならパソコンもタブレットも必要としないような「その他大勢」の人たちに買ってもらえる。これこそiPadもパソコンも踏み入れていない全く新しい市場だ。

実は上に書いたような「機能」は、別にAndroidだけでなく、iPadでも可能だ。しかし、iPadはハードウェアの仕様があまりにも汎用的過ぎて、リモコンに特化した仕様にはなっていない。これこそ、ハードウェア自由度の高いAndroidの得意技だ。家電用汎用リモコンに特化したハードウェア仕様の製品を出せばよい。

Android汎用リモコンに求められるハードウェア仕様は下記の通り。
1) 外出先への持ち出しは不要なので、必要以上に薄くなくて良い。
   (iPadは薄すぎて使いにくい)
2) 交換可能かつ長持ちのバッテリー。必要以上の小型化の必要は無い。
3) 簡単に充電可能な「ドック」
   (iPadにはこれが無い)

国内の家電メーカさん、具体的にはPanasonicさん、日立さん、東芝さん、三菱電機さん、ソニーさん、アイデア料は別に要りません。是非こんなものを作ってください。加えて通信規格の策定で、是非日本メーカがイニシアチブを取ってください。


AndroidタブレットがiPadに勝つためにすべきこと

一昨日昨日のエントリで、Androidタブレットをこき下ろすような書き方をしてしまったが、別に私はAppleが大好きなわけでも、Androidが嫌いなわけでもない。少なくとも今年(2011年)の春ぐらいまでは、Androidタブレットに大いに期待していたし、タブレット端末でのAppleの独占を、むしろ苦々しいくらいに思っていた。

そのためかAndroidタブレットに実際に触ってみたときの「がっかり感」は、より一層強いものになってしまったかもしれない。Androidタブレットに期待を裏切られた思いを胸に、ついに観念してiPadを購入したのは、2011年の5月末のこと。新しいもの好きの多いCitrixの同僚達は、2010年のiPadの売り上げ増に相当貢献していたが、そんな中での私のiPad購入は最も遅い部類だった。

Androidタブレットをユーザの立場で実際に触ってみての「がっかり感」もさることながら、マーケティング的な観点で見ても、Android陣営がやっていることはどこか間違っていると思えて仕方が無い。昨日のエントリで書いた「AndroidタブレットがiPadにどうしても勝てない3つの理由」以外にも、AndroidがiPadに勝てない理由を挙げることはできるのだが、そんな中で今日はあえて、Android陣営の立場に立って市場を奪回する起死回生策を考えてみたい。


■起死回生策その1 ~タブレットのマスマーケットを当面諦める~
Androidタブレット陣営が現在やっていることで、「最も間違っている」と思えるのが、「マスマーケット」でiPadと正面勝負を挑もうとしていることだ。

ここで言う「マスマーケット」とは、汎用的な「何でも出来ます」的な端末ととして購入してくれるユーザ層を表している。その具体例は、企業での利用もあれば、新しいもの好きの若者もいれば、お年寄りもいれば、小中学生もいれば、主婦層もいる。iPadの凄い所は、この種のマスマーケットを既に支配し始めていて、特にお年寄りや小中学生など、これまでパソコンさえも使っていなかった層の獲得にさえ成功しかけているところにある。

このようなマスマーケットの場合、既に市場を独占しかけている者(この場合はiPad。かつてはWindowsもそうだった)に、正面きって戦いを挑んでもほぼ勝ち目はない。独占している者には好循環(売れる→3rd Party製品の充実→さらに売れる→さらに3rd Party製品が充実・・・)が続き、少数派には悪循環(売れない→3rd Party製品の欠乏→売れない・・・)のみが待っている。挽回するためには(まさにWindowsに対してiPadがやったように)「全く別の市場」を作り、そこをターゲットにしないとダメなのだ。

では、マスマーケットでの正面衝突を避けるとしたらどうするか? 「ニッチ市場」しかない。この場合の「ニッチ市場」とは、例えば「小学校で使われる、小学生のためのIT入門端末」だとか、「宅配業者向けに特化した端末」のようなものだ。これらはあくまでの「例」でしかないが、もしもそこに導入されるとなると、これらだけでも非常に大きな市場であるし、これらの用途で採用されるか否かは、(良い意味でも悪い意味でも)通常の市場原則以外の力関係で決まることが多い。十分に逆転の可能性ありなのである。

学校 

■起死回生策その2 ~当面は携帯電話に注力する~
これまで特に明記してこなかったが、私の一連の「AndroidタブレットはiPadには勝てない」と言う説の対象には、携帯電話&スマートフォンは含まれていない。携帯電話&スマートフォンの世界なら、タブレット端末に比べるとAndroidがiPhoneを凌駕出来る可能性はぐんと高まる。

なぜなら、タブレット端末が「多数のユーザ&多数の3rd Partyベンダの意向」と言う「市場原理」に基づいた力学で動くことに対し、携帯電話の場合は「少数の巨大通信キャリア(携帯電話会社)の意向」と言う、市場原理にあまり関係しない力学で動くことが大いにあるからだ。全ての通信キャリアがAppleにソッポを向けば(まずありえないことではあるが)、いとも簡単にiPhoneは売れなくなってしまう。

実際は通信キャリアがAppleにソッポを向くことはほぼありえないだろう。ではAndroid陣営はどうすればよいか? 私が考えるに、今狙うべきは「スマートフォンを必要としない人々」だと思う。

タブレット端末の場合も、「タブレット端末なんて必要ない。使わない」と言う人々は相当数いる。この人たちは、どんなにタブレットが安く使いやすくなっても使わない人たちだが、その人たちが取る選択肢は、単純に「何も買わない」と言うものだ。そこに市場は存在しない。

同様に「スマートフォンなんて絶対いらない」と言う層は確実に存在する。しかしそのような人々のかなりの割合が「でも携帯電話は必要」であるはずだ。さらには「スマートフォンに興味はあるが、パケット定額が高すぎてスマートフォンに手が出せない。」と言う人々も相当数いる。

つまりは、既存のスマートフォンではカバーできない市場、しかもかなり巨大な市場が確実に存在しているのである。例えば日本の場合、この「スマートフォンいらないけど、携帯電話はいる」と言う人々の市場は、現状ではいわゆる「ガラパゴス携帯」に占領されている。これはAndroid陣営にとってはiPhoneよりも遥かに戦いやすい相手なのではないだろうか。

具体的には、ガラパゴス携帯とスマートフォンの中間的な存在のものを作ればよい。「中身はAndroidだが、インタフェースなどは実質ガラパゴス携帯」のようなものだ。特にスマートフォンで実質的に必要となる「パケット定額」の契約が無くても良いように、データ通信機能を無効にすることは重要だ。これだけで「パケット定額払いたくない」人々が飛びついてくれる。

このような形で「スマートフォンいらない」層に対し、実際に使わせながらスマートフォンへの抵抗を減らし、徐々に徐々に「いや実はスマートフォンも悪くないな」と思わせていけば、それだけでiPhoneが浸透していない市場をおさえることができる。このように特定の市場をおさえてしまえば、あとは待っているのは好循環だけだ。
携帯電話 
携帯電話の市場をおさえた後で、そのユーザを囲い込みながらタブレットに移行させていけばよい。

またまた長くなってしまったので、今日はここまで。
まだまだAndroidの起死回生策はある。


------------------
2012年1月28日追記

その後Appleは、「学校教科書の電子化」と言う市場に、万全のビジネスモデルを用意した上で進出し、さらにAndroid陣営がAppleに追いつくことを困難にしてしまった。
それに対する山田の見解は、下記のエントリにて。



AndroidタブレットがiPadにどうしても勝てない3つの理由

昨日のエントリ(AndroidタブレットはiPadを凌駕するか?)では、Androidタブレットが市場シェアにおいてiPadを凌駕することは相当に難しいであろうと予測した。その理由として、Androidタブレットの売りであるところの「オープン性」は、巷で信じられているほど武器にはならないことを挙げた。今日のエントリでは、さらに詳細な理由に踏み込んでみたい。

なお、私がこれから述べる意見と、ほぼ正反対の意見(『iPad』がAndroidに敗れ去る5つの理由)をWebで見つけたので、今日のエントリでは、その記事への反論も意識して書いている。



まずAndroidタブレット苦戦の理由を述べる前に、「オープンであることの良さ」を改めて復習したい。具体例としてかつての「WindowsとMac OSのシェア争い」のケーススタディで考える。

●オープンの良さ(その1) ~デバイス価格の下落~
Mac OSは、Macintoshハードしか選択肢が無いが、Windowsはハードウェアに対してオープンであり、デバイスメーカー間の競争によってハードウェアコストが下落した。
トータルコストでMacintoshよりもWindows PCが安くなり、それがWindowsの市場競争力の強化となった。

●オープンの良さ(その2) ~サードパーティ製品の充実~
Mac OSに比べオープンなWindowsのほうが、サードパーティベンダが参入しやすくなり、サードパーティ製品(特にアプリケーション)が質・量とも充実した。それら質・量豊富なサードパーティ製品を含めたトータルソリューションとして、Windowsの競争力が増した。

●オープンの良さ(その3) ~ユーザの操作の容易さ~
ハードウェアに対してオープンなWindowsは、どのハードウェアメーカのPCでも共通の操作を提供できる。IBMだろうが富士通だろうがNECだろうがDellだろうが、全て共通の操作であり、特にPCに詳しくないユーザが「誰かに助けを得る」ことを容易にする。

さて、上記のようなかつてWindowsの競争力を高めた「オープン性」は、Androidタブレットも享受できるだろうか?結論は「否」である。

----------------------------------------
さてここからが本題。
下記が「AndroidタブレットがiPadにどうしても勝てない3つの理由」

■理由1 Androidタブレットの価格競争力優位は非常に限定的
確かに一部のAndroidタブレットは非常に安い。約5万円のiPad(しかも値引きはほぼ無し)に比べ、半分以下の価格で売られているものも多い。

それでは、あるAndroidタブレットが仮に2万円だとして、「2万円 vs. 5万円」の戦いは、圧倒的に2万円が有利だろうか?
もちろん機能・性能・品質が同じであれば有利であるが、「20万円 vs. 50万円」(かつてのWindows と Mac の差は、本当にこれくらいだった)の差よりは遥かに優位性は薄れる。
(そしてもちろんAndroidタブレットとiPadの機能・性能・品質は同じではない)

さらには、iPadと同じようなタブレットを2万円で売っているメーカは、決してコスト的に余裕を持って2万円で売っているわけではない。ハードウェアの製造コストは、「同じ仕様の部品を、どれだけ大量に生産できるか?」で決まる。その点では、既に市場である程度のシェアを占めているiPadは大いに有利だ。また、Appleはハードウェアの製造コストが多少赤字でも、別の手段でコストを回収できる方法(iTunesストア)を確立している。
Appleは、iPadの販売価格を下げようと思えば、いつでも下げることができるのだ。現時点でのAndroid陣営の価格優位は、Androidタブレットのメーカが無理をしているか買い叩かれているだけであり、コスト構造的に優位とはいえない。


■理由2 サードパーティ製品の質・量でのiPad優位は当面揺らがない
上で「オープンの良さの一つは、サードパーティ製品の充実」と書いたが、実はわざと正確でない書き方をした。真実としては、オープン性はサードパーティ製品充実のための「ひとつの理由」にはなるかもしれないが、「決定的な理由」にはならない。

サードパーティベンダーにとって、プラットフォームが「オープンか、閉鎖的か?」は、実は大して重要ではないことだ。もっとも重要なのは「市場で優位か、優位でないか?」なのだ。つまり、サードパーティ製品のベンダーは、「自社の製品がより多く売れるプラットフォーム」を選ぶと言う、ある意味当たり前のことをしているに過ぎない。かつては、MacよりもWindowsのほうが市場優位だったのでサードパーティ製品が充実し、それにともなってさらに市場優位になる・・の好循環の繰り返しが起きた。いわゆる「デファクトか否か」が重要なのだ。「オープンか否か」は重要ではない。

翻ってAndroidタブレットとiPadの比較。iPod/iPhone時代からの蓄積によるサードパーティ資産によって、既にiPadのサードパーティ製品は圧倒的な質・量両面での充実度を誇っている。さらには現時点での圧倒的市場優位も出来上がっている。後は好循環が繰り返されていくだろう。

純粋に技術的な観点でも、AndroidよりもiPadのほうがアプリケーションは作りやすい。Appleは、十分なドキュメントとツールを提供しているし、Androidのハードウェアの統一性の無さが、アプリの作成をさらに難しいものにしている。例えばディスプレイサイズひとつ取っても、様々なバリエーションのあるAndroidでは、それら全てを考慮しなければいけない分、アプリ作成・テストのコストもかさんでしまう。iPadなら、ディスプレイサイズもハードウェアの仕様も統一されている分、作成・テストの手間が省かれる。
もっと細かい話をすると、「基本的に最新のiOSに対応していれば、それで良し」のiPadアプリに対し、Androidアプリの場合は相当に仕様の異なる複数のバージョンに対応しなければいけない。これもアプリベンダにとっては、大きな負担となる。


■理由3 Androidタブレットは、メーカ間・機種間の操作性に統一感が無い
現状でAndroidのGUIの品質全般は、iPadに比べると「まだまだ」であることに反論を唱える人はいないだろう。もちろん、この「まだまだ」は、時間が経てば追いつき追い越す可能性は大いに含んでいる。

しかしそれでも、iPadの優位は動かない。なぜなら、AndroidタブレットのGUIの向上が、本家本元Googleだけでなく各デバイスメーカが独自に取り組んでいるため、メーカや機種が変わると、操作方法も大きく変わってしまうためだ。初心者ユーザにとっては、この「操作方法が機種ごとにバラバラ」は、大きな大きな障壁になる。

既にお年寄りや小さな子供と言った、これまでPCにさえ触れなかった「全く新しい市場」を開拓し始めたiPadに比べると、Androidタブレット陣営はそのような市場とかけ離れていく一方となっている。各デバイスメーカがGUIの向上に努力すればするほど、統一性が薄れ、かえって使いにくくなってしまうのだ。

ここまで読んでいただいたうえで、「いやそんなことはない。Androidタブレットは早々にiPadを凌駕する」と考えている人は、是非反論をいただきたい。

------------------
2012年1月28日追記

その後Appleは、「学校教科書の電子化」と言う市場に、万全のビジネスモデルを用意した上で進出し、さらにAndroid陣営がAppleに追いつくことを困難にしてしまった。
それに対する山田の見解は、下記のエントリにて。




AndroidタブレットはiPadを凌駕するか?

Sony TabletやSamsungのGalaxyをはじめ、Androidタブレットの出品ラッシュが続いている。
Androidタブレット

これだけ色々な機種で賑やかになってくると、タブレットとして先行し既に市場に受け入れられているApple iPadとのシェア争いが面白いネタとなる。私は以前にこちらのエントリ(類似競合製品は無いと困る!)で書いたように、Androidタブレットの登場は、Appleに対する援護射撃にこそなっていても、iPadのシェアを脅かす存在にはなっていないと思っている。実際、通勤電車の中でiPadを開いている人は時折見れど、Andoroidタブレットを開いている人にはいまだかつて一度も出会ったことがない。読者の皆さんもそうなのでは?


ただ、上記のような私の考えは少数派のようで、「かつてWindowsの登場がMacをマイナーな存在に押しやったように、Androidタブレットもそのオープン性を武器に、iPadを凌駕するシェアを獲得するだろう。」と考えている人は多いようだ。

------------------------------------------------------------
ジョブズはスタイルやイメージの演出が卓越していることは認めますが、iPhone、iPad、iTunesが世界を変えたと思わないのです。ジョブズ後のこれらのツールはその閉鎖性の故に衰退するに違いありません。
------------------------------------------------------------

また、こちらのサイト(「iPad」がAndroidに敗れ去る5つの理由)でも、それなりにもっともらしい理由を挙げて、iPad衰退の理由を挙げている。


確かにかつてのMacintoshは、Windowsとの戦いに敗れ去って大きく市場シェアを落としてしまった。その最大の要因が、動作プラットフォームに関する「閉鎖性」であったとする説に反対する人は少ないだろう。歴史で「IF」が語られることは多いが、「もしもWindowsがリリースされるよりも早く、Appleが、Mac OSを他のPCベンダーに提供していたら?」と考えてみるのも面白いものだ。

しかしここで改めて断言したい。
今回のiPadとAndroidタブレットの戦いは、かつてのMacとWindowsのようにはならない!と。
少なくとも、iPadの閉鎖性とAndroidのオープン性が理由で、Androidが市場に受け入れられることは無い。

もちろん、Apple陣営が未来永劫に市場を寡占し続けることはありえず、いつかはシェアを落とすこともあるだろう。もしもそのようなことがあるとしたら、例えば次のようなケースだろうか。
1) 極めて強い人気を持つ特定のアプリ(もしくはサービス)が、iPadで使えないケース
(例えば、Googleマップ機能のiOS版の出荷をGoogleが停止するような事態)
2) 極めて多くの数のデバイスが必要な特定用途で、iPadが使えなくなるケース
(例えば、日本郵便の配達員全員に非iPadを持たせる決断が下るような事態)


いずれの場合も、非iPad陣営が「閉鎖性」を武器にした場合である。それゆえ非常に考えにくいケースでもある。Andoroidの本家本元であるGoogleが、Androidのオープン性を否定しても、Googleに何の得にもならないのだ。

結局何が言いたいかと言うと・・・
上で紹介したWindowsとMacの事例をもってして「閉鎖性:悪、オープン性:善」と言う図式が一般に考えられているが、「実はそんなことはないですよ」と強く言いたいのだ。

単にオープンと言うだけなら、LinuxデスクトップはWindowsよりも遥かにオープンなはずだ。ではデスクトップとしてのLinuxは一体どれだけ普及したのだろうか?Linuxはあまりにもオープン過ぎて、各ディストリビューションによって操作方法もバラバラ。キャズムで言うところの実利主義者(つまり一般の人々)にとっては、その「操作のバラバラ感」が最大の導入障壁だった。

AndroidもLinuxデスクトップと同じで、デバイスメーカによって実装もまちまち。したがって操作方法もバラバラ。一貫性のある操作性を提供しているApple製品とは、使い勝手の面で相当に差があると言わざるを得ない。

では、Androidタブレットが、iPad並の簡単操作を実現すれば(それ自体は十分実現かのうであることは認める)、iPadに脅威を与えられるのか?
いや、Androidがダメな理由はまだまだある。既に長くなってしまったので、次回以降のエントリで、そのことを書いていきたい。今日はここまで。

12月12日追記:
翌日のエントリで詳細な理由を説明。
このBlogについて
シトリックス・システムズ・ジャパン
(株)
に勤務し、自社製品をこよなく愛する山田晃嗣のブログ。

このブログで表明されている見解は、私(山田晃嗣)個人のものであり、シトリックスによって承認されたものではありません。
また、必ずしもシトリックスの見解を反映したものでもありません。
The views expressed here are
mine alone and have not been
authorized by, and do not
necessarily reflect the views
of, Citrix.

ブログ作者山田晃嗣のプロフィールはこちらのページをご参照ください。

アクセスカウンター
  • 累計:

記事検索
  • ライブドアブログ