前回の続きで、英検1級二次試験の対策について説明します。

前回、英検1級二次試験の出題トピックには、
「・・・は、過度に(too)・・・ではないか?」
あるいは
「・・・は、十分か(enough)どうか?」
と言う論理構造が頻出すると書きました。今回は、具体的な対策に踏み込みます。



定型文が当てはまる出題トピックの見つけ方
ご存知の通り、1回の試験では5つの出題トピックが出され、その中から選択できるようになっています。過去問を見る限りは、5つの選択肢の中に上記論理構造の出題がある可能性はかなり高いと言えます。

もちろん100%ではありません。出題されなかった場合のバックアップ対策については、別途説明します。

まず必要なのは、出題される5つのトピック中から、この対策に適合するトピックを見つけ出すことです。多くの場合、非常に簡単な方法で見つけ出すことが可能です。それはまず「too」もしくは「enough」を探すことです。見つかればしめたもの。のこりの時間を、その1つのトピックの意味の理解と、スピーチの組み立てに集中できます。

下記は、2017年度第2回での出題トピックですが、2.にtoo が、4.にenough があります。これらはまさに狙うべき論理構造の出題トピックです。
  1. Can the consumption of meat be morally justified?
  2. Is the Japanese economy too dependent on manufacturing?
  3. Can the efforts of individuals change society for the better?
  4. Are enough public funds invested in the arts?
  5. Should more be done to combat extremism on the Internet?

実は5.の文も同様の論理構造なのですが、これはtooもenoughも含まれないので、しっかり意味を読み取らないと見つけられません。この時の二次試験では、5つの出題トピックの中に「too」を使った文も「enough」を使った文もあって、見つけやすかったのですが、残念ながら5. のような文だけで、見つけづらい場合も往々にしてあるようです。そのような場合は、しっかり5つの出題トピックを見て探し出すしかありません。そのためのアドバイスが2つあります。

1つ目。適合するトピックにある程度時間がかかっても心配ありません。じっくり読んで見つけるべきです。次に説明するように、適合する出題トピックさえ見つけ出せれば、あとの部分は非常に簡単ですので、too や enough が見つからなくても焦らずに落ち着いてトピックの内容を読んで、(例えば上記5.のような)適合する文を見つけましょう。

2つ目。5つのトピックから適合するトピックを見つけ出す練習をしましょう。効率的な練習が可能です。過去問を見ながら、狙いの出題トピックを見つける練習をすれば良いのです。30秒以内に、5つのトピックの中から適合するトピックを見つける練習を繰り返してください。すべての過去問でやっても、集中すれば2時間もかからず終わってしまいます。



ショートスピーチの組み立てかた
さて、いよいよショートスピーチを組み立てます。ここからが、一連の二次試験対策の肝となる部分ですが、もっとも簡単に出来る部分でもあります。とにかく一定の「定型文(パターン or テンプレート)」に当てはめてしまえばよいのです。

実際の定型文の例は後ほど示しますが、大枠としては次の通りです。
  • 1) とにかく現状を肯定する。「十分か?」に対しては「十分だ」と答え、「過度か?」に対しては「過度ではない」と答えます。
  • 2) 最初の理由は、「現状で利点があるから」です。どんなものにも必ず利点はあるはずなので、その具体例を見出します。
  • 3) 次の理由は、「私たちの生活に大きな問題は無いから」です。実際に問題があったとしても無視しましょう。この部分は、何も考えず定型文だけで組み立てられます。
  • 4) あとはよくある前置きや論理展開で肉付けすれば完成です。

「とにかく現状を肯定する」に違和感を覚えたかたも多いでしょう。でも、その違和感は無視して、私の指示通りに進めてみてください。主張が、あなたの意見と違っていようが、常識はずれな意見になろうが、そんなことはどうでも良いのです。英検1級二次試験は、あなたの人間性や知識、論理思考力を評価するテストではありません。評価されるのは英語力だけです。

その英語力は、(多少論理に無理があろうが)文法・語彙・発音の面で良い英語を途切れずに話し続けることが肝心なのです。そのためには、ある程度事前にシナリオを準備しておいたほうが良いことは言うまでもありません。

問題は「この定型文がどこまで汎用的に使えるか?」と言うことです。結論から申し上げると、驚くほど汎用的に使えます。それは実際の定型文とその適用例を示すことでお分かりいただけると思います。



これぞ定型文
実際の定型文を下記に示します。
(現状否定)と主張する人も多くいることは事実だ。
しかしながら、(現状肯定)だと私は強く信じている。
私がそのような結論に至った2つの理由をこれから説明する。
一つ目の理由は、(現在の状態)から多大の利益を享受していることだ。
(現状を示す一例)は、その利益の最も良い例だ。
(現状が利益をもたらしている具体的な例を説明)
2つ目の理由は、私たちの生活に特に深刻な悪影響が無いことだ。
私が知る限り、誰も(出題トピックの問題)から深刻な害は受けていない。
単にテレビや新聞などのマスコミが問題を過剰に騒ぎ立てているだけのように私には見える。
これら2つの理由、多大な利益と軽微な被害から、問いに対する答えは明らかだ。
(現状肯定の繰り返し)
以上です。聞いていただきありがとうございます。
英語のスピーチは以下になります。
I must admit there are a considerable number of people saying (現状否定)
However, I strongly believe that (現状肯定)
I am going to tell you two reasons why I’ve come to this conclusion.
The first reason is that we are enjoying a great number of benefits from (現在の状態)
(現状を示す一例) is a perfect example of such a benefit.
(現状が利益をもたらしている具体的な例を説明)
The second reason is that there is no serious damage to our lives.
As far as I know, no one has been badly damaged by (出題トピックの問題)
It seems to me that the press, such as TV or newspaper, is just making much of the problem.
From these two reasons, a great number of benefits and very little serious damage, the answer to the question is obvious.
(現状肯定の繰り返し)
That’s it. Thank you for listening.

黒字が定型文で、赤字が出題トピックに合わせて変えるところです。ご覧になっていただければ分かるように、スピーチのほとんどが”予め用意できる”のです!!

出題トピックごとに考える部分も、ほとんどは出題トピックの英文から抽出するか、言いまわしを変えるだけで出来てしまいます。少し頭を使う必要があるのは、1つ目の理由から具体例を出すことくらいですが、英検1級の一次試験を通過した皆さんなら、いとも簡単に出来ることでしょう。

では、実際の過去問出題トピックに合わせて当てはめてみます。
出題トピック(2017年度第2回から)
Is the Japanese economy too dependent on manufacturing?

定型文を使った回答例:
I must admit there are a considerable number of people saying the Japanese economy is too dependent on manufacturing.
However, I strongly believe that there is no problem with the Japanese economy. It is not too dependent on manufacturing.
I am going to tell you two reasons why I’ve come to this conclusion.
The first reason is that we are enjoying a great number of benefits from the manufacturing industry in Japan.
The automobile industry, such as Toyota or Honda, is a perfect example of such a benefit.
The industry earns a tremendous amount of money by exporting a number of cars to other countries.
The second reason is that there is no serious damage to our lives.
As far as I know, no one has been badly damaged by the dependency on manufacturing.
It seems to me that the press, such as TV or newspaper, is just making much of the problem.
From these two reasons, a great number of benefits and very little serious damage, the answer to the question is obvious.
The Japanese economy is not too dependent on manufacturing.
That’s it. Thank you for listening.

その場で考えなければいけない赤字部分についても、その大部分が出題トピックの質問文を少しだけ言い回しを変えた文だと言うことが、お分かりいただけるでしょう。唯一「The automobile industry ・・・」から始まる文だけは、独自に考える必要がありますが、特に抽象的な文章ではなく、身近な具体例を述べるだけですので、英作文的には極めて簡単な部類の文と言えるでしょう。

さらには、「The he second reason is ・・・」から始まる一連の説明は、トピックの内容に関わらず、ほぼ何も考えずにこのまま利用出来てしまいます。これが、出題トピックに対して「とにかく現状を肯定するべき」と申し上げた大きな理由のひとつです。テーマが何であろうが、「過大か?」「十分か?」と言う問いに対して、この説明はそのまま使えてしまうのです。



次回予告
今回は、定型文の紹介と、過去問に合わせた実際の回答例を一つだけ紹介しました。次回では、さらに複数の過去問に合わせて実際の回答例を紹介してみたいと思います。

加えて、定型パターンではどうしても苦しい場合の対応や、「過大か?」「十分か?」を聞く出題トピックが無かった場合の対応についても説明していきたいと思います。



ーーーーー
コメント、ご質問など歓迎します。
ツイッターをフォローいただけると、大変嬉しいです。