Amazon Goから受けた衝撃があまりにも大きかったため、前々回前回と、随分長文のエントリを書いてしまいました。今回のエントリで一旦この話題を締めようかと思いますが、「Amazon Goが普及すると、ショップ店員と言う仕事はどうなるか?」について考えてみたいと思います。
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結論を先に書いてしまうと、
レジ打ちが消滅するなど店員の仕事は劇的に変化するが、”良い店員”のニーズは逆に高まる
と予測しております。

Amazon Goは「無人店舗」では無い
Amazon Goのニュースの報道後、「無人」と言う言葉が独り歩きして話題になっている面がありますが、半分は正しくとも、半分は間違っています。Amazon Goは「無人レジ」は提供していても、「無人店舗」ではありません。棚に商品を補充したりと言った作業は人が行っていますし、少なくとも1号店ではサンドイッチなどの食品が店舗内で人の手によって作られているようです。

さらにこれは私の勝手な思い込みかもしれませんが、Amazon Goの狙いは「可能な限り人手を排除して、果ては無人店舗を目指している」のではなく、「良きアドバイザーとしての本来の店員の役割にフォーカスさせるための省力化」に思えてならないのです。以下、私がそのように考える理由を述べます。


良き購買アドバイザーの重要性は増している
Amazon Goに限らず、人間が何かを買うとき、その判断材料として自分以外の人の意見を求めることが多々あります。古くは、近い知り合いからの口コミであったり、最近ではネットに書かれた口コミ情報だったりしますが、こと物理店舗においては「店員のアドバイス」が依然として大きな割合を占めているはずです。

これもあくまで個人的な感覚でしかなく、客観的なデータがあるわけではありませんが、昨今はネットの口コミ情報の信頼性が低下しているのではないかと思うのです。Amazonのネット通販が普及し始めた直後、Amazonのレビューは、旧来のプロ評論家とは違った新鮮な見方を提供することで、それなりに頼れる存在でした。しかし昨今ではその影響があまりにも強くなりすぎてしい、商品提供者による「やらせ」レビューも蔓延し、その信頼性に陰りが見え始めていると感じるのです。

さらに家電製品などは、その機能が高度化&複雑化することで、顧客からは非常に分かりにくくなっています。私自身は、まがいなりにも理系の大学を出てテクノロジー業界で仕事しておりますので、平均よりは家電製品の複雑な機能に強いはずなのですが、そんな私でも家電製品に関するネットの情報が複雑すぎてよく混乱させられます。そんな中、家電量販店などには商品説明スキルが相当に高い店員がいて(全ての店員がそうだと言うわけでもありませんが)、商品購買時の頼れるアドバイザーになってくれます。ネットの情報よりも店員の説明で腑に落ちることが多々あるのです。そう考えると、おそらく世の中の大多数の消費者は、ネットの情報よりも生身の人間によるアドバイスを強く求めているはずなのです。

このような購買アドバイザーとしてのネット情報の地位低下に関して、それを大量に提供して分析している当のAmazonが気づいていないわけはないと思うのです。ネット情報の地位低下により、相対的に生身の人間のアドバイザーの地位が上がっていることも、もちろんお見通しのはずです。

そう考えると、Amazonがネット上の仮想店舗から、現実世界の物理店舗と「生身の人間の店員」に進出してきたのは、理にかなっているのではないでしょうか。


ショップ店員は「クリエイティブな仕事」に
商品説明スキルの高い店員、言い換えれば、その説明スキルによって顧客の購買意欲を高められる店員にとって、Amazon Goの店舗は夢のような素晴らしい仕事場になる可能性があります。まず既に実現されている店員にとっての利点として、レジ打ちのような説明スキルに関係しないような仕事をする必要が無く、その分顧客の購買意欲を後押しするための説明に注力することが出来ます。

次の点は、現状では紹介されておらず私の妄想でしかありませんが、Amazono Goなら、店員の説明スキルを正しく測定し数値化できる可能性があると思えるのです。あれだけの画像認識技術があるのであれば、店員の顧客への説明がどれだけ売上向上に貢献したかを数値化するのも十分に可能なはずです。その売上向上を店員の報酬に反映するようにすれば、説明スキルの高い店員は報酬の高さで報われます。店舗も売り上げの向上に繋がりますし、顧客にとっても頼れる店員が増えることになり、皆が幸せになれます。

ITの普及によって、企業のオフィスから「一般事務」と言う職種が消えたように、技術が発展すると「クリエイティブで無い仕事」は真っ先に無くなっていきます。店舗のレジ打ちも、まさにそう言った仕事なのでしょう。クリエイティブな商品説明の出来ない店員にとっては嬉しくない世の中ですが、それが出来る店員にとっては、むしろ明るい未来が広がっているはずです。

むしろこれこそが、本来の「働き方改革」なのかもしれません。