NHKドラマ「風雲児たち~蘭学革命(れぼりゅうし)篇~」を見終わりました。原作マンガとはかなりテイストの異なる作りになっていましたが、見事な出来でした。ラスト近くの、前野良沢と藩主奥平昌鹿との面会シーンでは、もう涙がボロボロ出てきてしまったほどです。観る前は、原作のギャグのテイストをどのように出すのかを危惧していましたが、そのギャグテイストをある意味きっぱり諦め、原作マンガのもう一つのエッセンスであるところのドラマ的な側面を強調した作りにすることを制作者たちは選んだわけです。1時間強での実写ドラマという時間的な制約の中では、おそらくこれがベストの選択だったのでしょう。

一方で、原作マンガは、中心をギャグに置きながら、ドラマで描かれたような感動ストーリも絶妙なテイストで混ぜており、原作読まずにドラマを見て感動した皆さんは、是非とも原作マンガも読んでいただきたいと思います。ドラマに描かれたストーリは、4巻〜6巻で読むことが出来ます。その前の1巻〜3巻も、もちろん読んだ方がベターですが、それを飛ばして4巻から読み始めても問題ありません。
風雲児たち 4巻 (SPコミックス)
みなもと太郎
リイド社
2013-09-20


風雲児たち 5巻 (SPコミックス)
みなもと太郎
リイド社
2013-09-20


風雲児たち 6巻 (SPコミックス)
みなもと太郎
リイド社
2013-09-20



さて、ドラマを見ていて思ったことをランダムに。

オランダ語翻訳の過程は、よりリアリティ重視で
予め予告されたドラマのテーマ設定からして、オランダ語の翻訳作業をゼロから始める際のエピソードが極めて重要なはずで、そこがドラマでも描かれるであろうことは予想していました。原作マンガでは、リアリティを度外視して「JAWS」「UP JAW」「DOWN JAW」と無理やり英単語を例にとって描いていましたし、「フルヘンヘッド=うず高く」と言うエピソードも、一般に広く知られています。実は、有名なフルヘンヘッドのエピソードも、創作(フィクション)であることが原作マンガでも語られていますが、NHKドラマでは、「verhevene=隆起」であることを見つけ出すと言う、おそらく史実に近いエピソードで語られていました。リアリティがあって解りやすくもあり、これはこのドラマの最大の美点でもあるでしょう。

エレキテルのエピソードには不満
今回のドラマの最大の不満は、平賀源内が田沼意次にエレキテルを見せるエピソードの描写です。実は、原作マンガのこのシーンは、私が最も感銘を受けたシーンの一つなのですが、残念ながらNHKドラマではその良さが全く伝わらず、「無くても良いシーン」に成り下がってしまっていました。
原作マンガでのエレキテルのシーンは、次の通りです。

エレキテルを田沼意次に披露する平賀源内。
田沼:「して何の役に立つのじゃ?」 (NHKドラマでは源内は「何の役にも立ちません」で終わり)

源内は言葉に詰まるが・・・・
源内の頭には、冷蔵庫、テレビ、蛍光灯と言った家電製品が頭に浮かび、
さらには煌煌と明かりが灯された大都市の夜景も頭に浮かぶ・・・

源内:「はっ」 「今のは・・・・」
田沼:「何をぶつぶついうとるんじゃ」「一体何の役に立つのじゃ」
源内:「一体何の役に立つのだろう・・・・」(ズッコける田沼意次)

風雲児たち2
このエピソード、物凄く奥深いものだと思っています。その時点では何の役に立つのかは全く分からなくても、将来ひょっとしたら役に立つかもしれないことの研究する、「基礎科学研究」の重要性を訴えているのです。ドラマでも、平賀源内の勝手な妄想として、将来の電気の利用を思い描くシーンを作ることはできたはず。そこはとても残念でした。


続編に期待
高山彦九郎、林子平の登場の仕方から言って、彼らを中心に添えた続編を考えていることでしょう。これで終わるのは、中途半端すぎます。今回のドラマの視聴率次第かもしれませんが、それも大いに楽しみです。