Living in the Flat World

「世界はフラットになっている」と考えれば、世の中の変化も少し違った見方ができるはず!その考え方のもと、ITを中心に日常生活から世界のニュースまで幅広い題材を取り上げるブログ。

2012年04月

カップヌードルミュージアムで安藤百福の偉大さを知る

1週間前の4月14日に、横浜みなとみらいにある「カップヌードルミュージアム」に行ってきた。
cupnoodles

行く前は大して期待はしていなかったと言うのが正直なところ。アトラクションひとつ「チキンラーメンファクトリー(チキンラーメンを実際に手作りできる!)」の事前予約が出来ていて(土日祝の予約は極めて困難)、単純に家族サービスの一環としてのみ行ったつもりだった。だが、そんな事前の予想は、見事に良い方向に裏切られた。

このミュージアムは素晴らしい!!

子供はもちろん、大人でも十二分に楽しめる。私個人ほぼ一日楽しめたし、何よりも安藤百福の業績やビジネス哲学を知って、大いに感銘を受けた。今日のエントリでは、安藤百福について私が受けた感銘を、皆さんに紹介したいと思う。

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「カップヌードルミュージアム」と言う名前は実は「通称名」で、その正式名称は「安藤百福発明記念館」と言う。安藤百福とは、即席麺(『チキンラーメン』と『カップヌードル』)の発明者にして日清食品の創業者のことだ。

安藤百福は、知る人ぞ知る偉大な発明家で、子供向けの伝記漫画にもなっている。
安藤百福
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もっとも、「知る人ぞ知る」とは言っても、日本にはさらに有名な起業家がいて、例えば本田宗一郎(ホンダ)や松下幸之助(パナソニック)や盛田昭夫(ソニー)に比べると、安藤百福の知名度はイマイチかもしれない。実は私自身も、かろうじて「チキンラーメンの発明者であることを知っていた」程度の知識しかなく、安藤百福の本当の偉大さを知ったのは、ミュージアムに行って展示を見てからだった。

以前の私と同様に、安藤百福に関しておぼろげな知識しかない人は、こちらのウィキペディアの記事を読むのが良いだろう。その業績が簡潔にまとめてある。

でも今なら、断言できる。
安藤百福の偉大さは、本田宗一郎や松下幸之助や盛田昭夫をも凌駕する!

その理由は下記の3つ。
1. 安藤百福は、即席麺とその製法を、誰の力も借りずに全く一人だけで発明した。
  (本田宗一郎も松下幸之助も盛田昭夫も、「独力」での画期的な発明は知られていない)

2. 発明した即席麺も、その製法(瞬間油熱乾燥法)も、今でも形を変えずに残っている。
  (ホンダのCVCCエンジンは今は無く、ソニーのウォークマンも仕組みを大きく変えてしまった)

3. 自らが苦労して発明した即席麺の製法特許を、競合他社に惜しげもなく公開・譲渡した。


私が特に感銘を受けたのは、3. の製法特許の公開・譲渡についてだ。これがなぜそれほどまでに素晴らしいかと言う理由については、追加説明が要るかもしれない。

安藤百福が発明し、1958年に発売されたチキンラーメンは、すぐに人気商品となった。だが、それを模倣した粗悪な製品が他社から売られることを誘発してしまうことにもなった。日清食品は、当初それら粗悪な模倣品に対して裁判などで争っていたが、いくら裁判で勝てても、結局は「もぐら叩き」にしかならなくなってしまった。粗悪品は、後から後から出てくるのだ。

この状況に対する「抜本的な解決」が、製法特許の公開・譲渡だったのだ。つまり、それまで粗悪な製品しか作れなかった競合他社でも、日清食品と同レベルの品質のインスタントラーメンを作れるようにすることで、粗悪品が作られることを根本から防止したわけだ。チキンラーメン発売から僅か6年後の1964年のことだ。確かに「お客様第一」の観点からすると、素晴らしい判断だと言える。

だがいくら「お客様第一」と言っても、これは自社の利益を著しく損なうことにならないだろうか? せっかくの自社の強みを、みすみす競合他社に与えてしまったのだ。それがきっかけでシェアを大きく奪われれば、自社に対する「背任」とも言えるのではないだろうか?

いや、そんなことはない!
この製法特許の公開・譲渡は、日清食品自身が事業拡大にも結びついた英断だったのだ。

安藤百福自身の有名な言葉を引用しよう。

「日清食品が特許を独占して野中の一本杉として発展することはできるが、それでは森として大きな産業には育たない」

全くその通りだと思う。類似した競合製品の無い1社独占の状態(野中の一本杉)では、その製品カテゴリ自体(森)が市場に受け入れられないのだ。これは、インスタントラーメンのような(当事としては)新しい技術を使った目新しい製品カテゴリの場合に、特に良く当てはまる。

私は、下記2つのエントリにも記したとおり、以前からこの「競合必要説」を唱えている。

(AppleのiPhoneは、Androidの登場によって売上げを拡大した)

(Citrixのデスクトップ仮想化製品は、VMwareによる市場参入で売上げを伸ばしたし、今後も伸ばせる)


もちろんこの説を唱えているのは私だけではなく、上記エントリでも紹介したとおり、「キャズム」と言う超有名なビジネス書にも書かれている。しかし、「競合必要説」が最も当てはまるはずのハイテク業界において、それを信じて競合の存在をうまく活用していることは意外に少ない。

現在ほどビジネス理論の確立していなかった1960年代に、まさに自らの身を削るような大英断を下した安藤百福の洞察力は、いくら尊敬してもし過ぎるものではないだろう。



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【閑話休題】
カップヌードルミュージアムを訪れるきっかけとなった「チキンラーメンファクトリー」では、まさに安藤百福が独力で発明した際と全く同じ作り方で、チキンラーメン造りを体験できる。それはまさに、小麦などの材料を「混ぜて練る」ことから始まって、麺の形に生成して最後は油で揚げるまでの製造工程だ。

<この写真は、製造工程最後の「瞬間油熱乾燥」をしているところ> 
油


その1週間前に家族で作ったチキンラーメンだが、まさに今日4月21日の昼ご飯で、やはり家族そろって食べてみた。

日清チキンラーメンは、もう何十年も食べてなかったが、
「こんなに美味しかったんだ・・・」
と言うのが、食べてみての感想。

<自ら作って、自ら食べたチキンラーメンパッケージの「抜け殻」>
チキンラーメン



最も偉大な日本人発明家にして起業家、安藤百福に乾杯!
MomofukuAndo




Windows でも 音声入力!

ひと月ほど前のエントリで、新しいiPadの音声入力が「かなり使える」ことを紹介した。

さらに前のエントリでは、Citrix Receiver for iPadを使えば、iPad上でWindowsが非常に高速かつ快適に動作することを説明した。

今日のエントリでは、過去に紹介した「iPadの音声入力」「iPadでWindows」の2つが、組み合わせて使えることを紹介する。つまり、WordやExcelと言った典型的なWindowsアプリケーションでも、iPadの音声入力機能を使って、キーボードを使わずに効率的な文字入力が出来るのだ。

まずは下記動画を(音を出したうえで)見て欲しい。


Windows7上で動くMicrosoft Word への文字入力が、音声だけで行われている!

タブレットを使う場合の(パソコンに比べた)不便さのひとつは文字入力のやりくさであるが、iPadの音声入力は、その不便さを相当に解消してくれる。単にタブレットの文字入力の不便さを解消してくれるだけでなく、Windowsアプリケーションと組み合わせて、様々な応用があるのではないだろうか。



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さて一方で、Citrix Receiver for iPadを使ったこのWindowsへの音声入力は、実際に動かすためにいくつか「注意点」が必要になる。以降では、その注意事項を説明したい。

注意1) Windows側の日本語変換はオフにする
仮想Windows側では、日本語変換を無効にして、半角英数字を入力できる状態にしておくこと。
fep
今回紹介した仮想Windowsへの「音声入力」の場合、日本語変換は完全にiPad側の機能を使うため、Windows側日本語変換機能を有効にすると、2つの日本語変換がコンフリクトしてしまい、うまく動いてくれない。


注意2) iPad側のキーボードは、日本語入力の状態にする
これは直接的にはCitrixは関係なく、純粋にiPadの音声入力機能の制限による。
下記のように、キーボードが英語モードだと音声は「英語」と解釈されてしまい、うまく日本語での音声入力が出来ない。
English

正しく日本語で音声入力させるためには、キーボードを日本語入力モードにしておく必要がある。下記図の青い楕円の中のような変換候補表示フィールドが現れていればOK。
日本語



注意3) ソフトウェアキーボード左上の「T」ボタンを押す
これが最重要!Citrix Receiver for iPad利用時は、ソフトウェアキーボード左上に、「A」と「T」の2つのボタンが現れるが、音声入力実行時前に必ず「T」のボタンを押す必要がある。
T

「T」ボタンを押せば、その右隣に入力文字を一時的に格納する欄が出てくるが、これで初めてCitrix Receiver for iPadでの音声入力が可能になる。

ひと通り音声入力が完了したら、入力文字の格納欄の右に「送信」ボタンを押せば、仮想Windows側に文字列が送られる。
送信


なお、このiPad上での音声入力からWindows側への文字列送信の一連の操作は、冒頭で紹介した動画でも確認していただけると思う。
 

新しいiPad(第3世代iPad)と、Citrix環境をお持ちのかたは、 是非お試しあれ。かなり楽しめる!!

 

引越し完了!ブログ名も変えて、新たな出発

私(山田晃嗣)が運営していた旧ブログ(Lecture notes in Psychohistory)の読者の皆様、大変お待たせいたしました。ようやくブログの引越しが完了し、旧ブログでの過去の記事をひと通りこちらの新ブログ(Living in the Flat World)に移し変えました。 もちろん今後の新たなエントリも、こちらのブログに追加していきますので、今後ともご愛読のほど、よろしくお願いいたします。

今日のエントリでは、こちらの新しいブログのタイトル「Living in the Flat World」に含めた私の思いを語らせていただきます。

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新ブログ名称:「Living in the Flat World(平らな世界での生活)」とは?

私がこれまでに読んだ本の中で、最も強烈な印象を受けた本の中のひとつである、下記の本から「Flat World(平らな世界)」と言うキーワードを拝借している。
 フラット化する世界
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この本は、リーマンショック以前に出版された本であるため、グローバリズムを礼賛しすぎていている点で、少々突っ込みどころの残る本ではある。しかしそれを差し引いても、まだまだ十分に読む価値のある本だと思う。今世界で起きている「変化」の実態とその理由を、的確にわかりやすく表現している点で、他の本の追随を許さない。何よりも、「The World Is Flat (世界は平らだ)」と言う、簡潔かつ刺激的なタイトルが素晴らしい。単に刺激的なだけではない。本当に「世界はフラットだ」と実感することが、最近益々多くなってきているのだ。

どうして「世界はフラット」と言えるのか?

例えば20年前の日本とインドの関係は、決して「フラット」ではなかった。インド人として産まれるよりも、日本人として産まれたほうが、明らかに恵まれていたと言える。日本人とインド人が、ビジネスにおける「競技場」で戦う必要が生じることは滅多に無かったし、仮に戦うにしても、あらゆるルールは日本人に有利に出来ていた。競技場は決してフラットでは無かったのである。

2012年現在はどうだろう?我々日本人がインド人と ビジネスの世界で 戦うことは珍しくなくなった。それでもまだ少しは日本人に有利なハンディキャップは残っているかもしれない。しかし、今少しあるハンディキャップが、今後益々少なくなっていくであろうと言う予測に、意義を唱えられる人はほとんどいないのではないか。我々は知らず知らずの間に、「日本人である特権」に甘えてきたが、そんな特権はもう長続きしない。個人個人が「Flat World」と言うハンディの無い世界で、インド人や中国人達と戦わなければいけないのだ。

悲観すべきことばかりではない。

「情報の伝達」も、明らかにフラットになった。20年前は、テレビや大手新聞を頂点としたマスコミが高い位置にあり、その他の人々は低い位置しかいなかった。水が上から下に流れるかのごとく、情報伝達もほぼ完全な一方通行でしかなかった。マスコミに縁の無い「普通の人」が何らかの情報発信をして、それを多数の人に広めることは「広告料」に莫大な資金を費やさない限りは、どだい不可能なことだった。

2012年の現在なら、何の資金も持たない「普通の人」が、何百万人を相手に情報発信をして、世論の動向を変えてしまうことは決して不可能なことではない。普通の人々でも、平らな競技場で大手マスコミと戦うことができるのだ。

下記は、「フラット化する世界」からの抜粋。
グローバリゼーション3.0は、世界をSサイズからさらに縮め、それと同時に競技場を平坦に均した。また、グローバリゼーション1.0の原動力が国のグローバル化であり、2.0の原動力が企業のグローバル化であったのに対し、3.0の原動力--これにたぐいまれな特徴を与えている要素--は、個人がグローバルに力を合わせ、またグローバルに競争をくりひろげるという、新しく得た力なのである。
ちなみに英語オリジナルだとこちら。
Globalization 3.0 is shrinking the world from a size small to a size tiny and flattening the playing field at the sama time. And while the dynamic force in Globalization 1.0 was countries globalizing and the dynamic force in Globalization 2.0 was companies globalizing, the dynamic force in Globalization 3.0 --- the force that gives it its unique character --- is the newfound power for individuals to collaborate and compete globally.

このフラットな世界に住んで(まさにLiving in the Flat World)、これから私はどうすればよいのだろう?

少なくとも私にとっては、このブログでの個人での情報発信を続けることこそ、今一番やらなければならないことだと思っている。その理由を、物凄く端折って書くと、下記の通り。
・私の周りで起きている多くのことは、今後世界が「より極端にフラット化」するための要因なのではないか。
・そうした出来事をただ漠然と見て感じるよりも、こうして文章化したほうが整理しやすい
・情報発信を続けることが、フラットな世界を生きていく上での武器になるかもしれない。


取り留めの無いエントリになりましたが、今後も情報発信は続けます。よろしくお願いいたします。

このBlogについて
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に勤務し、自社製品をこよなく愛する山田晃嗣のブログ。

このブログで表明されている見解は、私(山田晃嗣)個人のものであり、シトリックスによって承認されたものではありません。
また、必ずしもシトリックスの見解を反映したものでもありません。
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