Living in the Flat World

「世界はフラットになっている」と考えれば、世の中の変化も少し違った見方ができるはず!その考え方のもと、ITを中心に日常生活から世界のニュースまで幅広い題材を取り上げるブログ。

マーガレット・サッチャーの決断と責任

約1週間滞在したSan Franciscoから、昨日(5月12日土曜日)日本に戻ってきた。実は、1週間前のSan Franciscoに到着した翌日から酷い風邪にやられていて、ほぼ寝込むためにSan Franciscoに行ってきたようなものになってしまっていた。皮肉なことに、到着直後に書いたエントリで、「風邪をひかないように気をつけなければ。」と書いた直後に風邪をひいてしまったわけだ。

海外滞在中に何らかの病気にやられたのは初めての経験で、日本から薬の用意はしておらず、下の写真の薬を現地調達した。
アメリカで買った風邪薬
この薬、「NIGHTTIME」用と書かれているだけあって、とにかく良く眠れる。飲んで10分もすれば、まぶたが鉛のように重くなって、とても目を開けていられない。ただし、「とことん熟睡できるか?」と言うと、そうでもなく、おそらく薬の副作用からか3,4時間後に猛烈に喉が渇いて、それで目覚めてしまうのが悩みどころ。この薬で「完治する」ことは結局出来なかったが、一番辛かった喉の痛み(最初は唾を飲み込むのも辛かった)が緩和されたのは確かなので、まあそこそこにはお勧めできる。

「Walgreens」と言う、全米に展開している薬屋(兼スーパーマーケット)のチェーンに行けば、処方箋無しで簡単に購入できる。またWalgreensは、San Franciscoのような大都市であれば、簡単に見つけられるので、米国滞在中での風邪などの軽い病気には、大いに利用できるだろう。ご参考になれば幸いだ。




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さて、ここからが今日のエントリの主題。

帰りの飛行機の中で、この映画を見た。

「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」(原題:The Iron Lady)

泣けた。涙が止まらなかった。
風邪も完治しておらず、気圧も低かったので通常より涙腺もゆるかったかも知れないが、流した涙の量だけから言ったら、これまで見た映画でNo.1と言えるくらい。

なぜ泣けたのか?
日本公開用の宣伝キャッチコピーでは、「国への想い」だとか「家族への愛」と言ったものが強調されているが、そのようなものに共感して泣いたわけではない。

サッチャーの下した「決断」と、それによって背負うことになった「責任」。この2つは、あまりにも重過ぎて、まず「見ているのが辛かった」と言うのが正直なところ(それが涙の一因であったことも否定しない)。そしてこの傍で見ていても辛くなるような決断と責任に対して、サッチャーは最後まで逃げずに常に正面から向き合っていた。これが涙の最大の理由だ。

映画の中でも取り上げられていたサッチャーの下した決断の代表例は、「新自由主義的な経済政策」と「フォークランド紛争」だろう。完全な弱肉強食(弱者切り捨て)と言える前者の経済政策や、時代錯誤な帝国主義とも言える後者の参戦など、サッチャーの決断を非難するだけなら、もっともらしい理屈をいくらでもひねり出せるだろう。いや、ひょっとしたらそれら非難意見のほうが正しかったかもしれない。だが、それでも彼女は決断した。決断して物事を前に進めた。前に進めれば、それは良くない結果も出てくる(フォークランド紛争では、英軍にも少なからぬ死者が出た)。そして、それらも良くない結果も、全て彼女は自らの責任として受け止めた。

現代のように高度にグローバリズムが進み、政治も経済も複雑化したよの中で、「正しい判断」をすることは、益々難しくなっている。何が「正解」かは、後だしジャンケンでも無い限り分からないし、ある時は「正解」と呼ばれたことが、時代が少し変わっただけで「不正解」になってしまうことも往々にしてある。
だが、結局のところ最後に求められるのは、マーガレット・サッチャーが見せたような決断力と責任の取り方ではないだろうか。それは政治だけでなく、企業経営や、個人の人生の判断においても。



Citrix Synergy 2012 San Francisco Keynote メモ

以前のエントリで予告していた通り、Citrix Synergy 2012 San Francisco でのCitrix CEO Mark Templetonのキーノートスピーチ(基調講演)の内容をレポートする。Citrix Synergyキーノートは、現地時間で2012年5月9日(水)午前10時半、日本時間だと5月10日午前2時半から、San Franciscoのモスコーニ・センターで行われた。

今回のエントリは、スピードを最優先にした「メモ」としてお届けしているので、用語の解説などはしておらず、記述も読みにくいところがあるが、どうかご容赦いただきたい。このキーノートを受けての山田個人の所感などは別のエントリにまとめたいと思う。なお、記述内容は、私(山田晃嗣)が実際にスピーチを聞いて理解した内容であり、英語の聞き取りミスなどによって内容的に不正確なことがあるとしたら、それは全て私の責任である。

キーノートの様子(撮影は全てiPhone4Sのカメラより)
synergy1
synergy2
synergy3

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以下、実際のキーノートの内容をメモに基づいて時系列にて
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■いくつかのUpadte
GotoAssist
50Milion sessionsの実績。
新たにGotoAssist for iPad とGoto Assist for Androidを無償にて提供済み。

・WYSE Xenith 2
2年前にXenithを発表したが、今回Xenith2を発表。
40%fasterで、WANに最適化されている。マルチモニタにも対応。

・VDI in a Box
XenDesktopへのアップグレードパスを用意。
2012年の「BEST of INTEROP Award」を受賞。
Dellの「DVS」と言うプリインストールモデルもあり。


・Citrix AppDNA
2014年のWindows XPのサポート終了に向けての有用なツールになるはず。
新バージョンAppDNA6.1は、インストールやGUIをより使いやすく改善している。


・XenClient
かつてはXenClientの競合であった「Virutal Computer」を買収
新たにEnterprise Editionを$175 per Userで提供。


・Microsoftアライアンス
Hyper-VによりVDIの集約率を大幅に向上可能。
Windows8やWindows Server 2012へのいち早い対応を進める。


・Ciscoアライアンス
Cisco VXIはXenDesktopのReference Designになる。


■Innovation Award
最終ノミネートは「SUNCORP」「IDC Frontier」「ESA」の3つ。
投票によって決められたAward Winnerは、ESA。



■キーノート主題

・「PCの時代」から「クラウドの時代」へ
"Exception of PC Era are the New Asumption of Cloud Era"
「PCの時代で『例外』だったことは、クラウドの時代では『前提』となる」
それは例えば「Mobile」「Personal」「Wireless」と言ったこと。


・Work と Life がSeamless Continuum(境目の無い連続体)に
Seamlessになればなるほど便利になるはず。
それをre-Invention(再発明)するのが、Citrixの「Mobile Workstyle」と「Cloud Service」
Mobile Workstyleの構成要素は「People」「Data」「Apps」「Device」の4つ。


・People
People(人々)に対して「Work from anyware, with anyone, on any device」を実現する。
そのためのひとつツールとして、GotoMeeting HD Faces for iPadの提供開始。

加えて、Workflowツールの「Podio」の買収を発表。
元々PodioはEvernoteやDropboxと言ったクラウドサービスと連携したWorkflowツールだったが、
Citrixの買収によりShareFileやGotoMeetingとの連携できるようになった。
GotoMeetingのグループ内でのスケジュール管理や、
グループ内で参照すべきファイルをPodioにより一元管理できるようになった。


・Data
ShareFile with StorageZonesを発表。
StarageZonesは、ShareFileによるファイルの保存先として、
オンプレミスのストレージやクラウドにしても世界のどこのデータセンタかを選択可能にする。
企業のセキュリティ要求に基づいたもの。
まずはTech Previewとして提供。


・Apps
Citrix Receiver with Follw-Me-Dataを7月に発表予定。

Citrix Cloud Gateway2 を発表。
「アプリケーション」と言うと、これまでWindowsアプリが中心だったが、
今後はApple、Android、HTML5と、アプリも多様性が増していく。
そのような多様なアプリの「Unified Store Front」としての役割をCloudGatewayは担う。

キーノートでは次のようなデモを披露した。
まずWindowsのReceiverでで「お気に入りアプリ」を設定し、
それがMacやiPadにデバイスを変えても、「お気に入りアプリ」が維持されることを示した。
(これがFollow-Me-Apps)
併せて、Receiverの「Docs」タブでは、
デバイスが変わってもShareFileによって同じドキュメントが維持されることも見せた。
さらには、iPadのネイティブアプリの配布管理も出来ることを示した。
これは従来のMDM(Mobile Device Management)よりもさらにバリューを提供できるもの。


・Device
上記したAppsとDataは、各デバイスプラットフォーム用のCitrix Receiverにより、
あらゆるデバイスで共通のインタフェースが提供され、
AppsもDataもデバイス間で同じように使える。

・XenDesktop
相変わらずシェアNo.1。
「Total Value of Ownership」の概念を提唱。

FlexCastのいちコンポーネントとして、「Remote PC」をアナウンス。
従来の仮想PCやブレードPCだけでなく、既存のパソコンに対してもHDXでの接続が出来るようになる。
これによって通常のVDIよりも導入コストを大幅に下げることができる。

さらにはHDX 3D Pro Deep Compression CODECと、
Windows8メトロインタフェースの仮想化もデモ。


・HDX Ready System-on-Chip
各デバイスメーカの対応状況を説明。
特にHPの「All in One Zero Client」は、Ethernetによる電源供給が特徴
消費電力が極小のため、電源コードが必要なく、
Ethernetケーブルだけの接続で動作すする。

・Cloud Serviceの4つの構成要素
「Bridge」「Build」「Deliver」「Transform」の4つが、
Citrixの「Powering Cloud Services」の構成要素。

・Bridge
Private CloudとPublic Cloudのブリッジの役目を担うのがCloud Bridge
より構築が容易になったCloud Bridge2を6月にリリース予定。

・Build
Amazon Web ServiceのようなCloudを簡単に構築(Build)できるのがCloudStack。
CloudStackがApache管理になったことにより、
Citrixの有償製品の名称は「CloudPlatform」へ変更。


・Deliver
Cloud Serviceを配信(Deliver)する役目を担うのがNetScaler。
今回あらたにNetScaler10 with TriScale Technologyを発表。
TriScale(3つのスケール)とは・・・
1) Scale Up : Pay as you Grow
2) Scale In : Consolidation
3) Scale Out : Clustering


・One More Thing
4つの構成要素の最後の「Transform」の役割を担う製品としてProject Avalonを発表。
XenDesktop/XenAppのクラウドスタイルサーバオーケストレーションを可能に。
詳しくは明日2日目のキーノートにて説明。


・最後のまとめ
Citrixの5本の柱。
1) Online Collaboration
2) Data Share
3) Desktop & Application
4) Cloud Networking
5) Cloud Platform

「Citrix > Σ(上記5つ)」と定義づけ。


San Franciscoに来ています

本日より米国San Franciscoに来ている。年に2回開催されるCitrixのイベントに参加するためだ。「Citrix Synergy」と呼ばれるこのイベントは、近年では5月頃にSan Franciscoと、10月頃にBarcelonaで開催されるのが恒例になっており、いずれも数千人規模のCitrixのお客様やパートナー様が世界中から集まってくる。パートナー様限定で直前に開催される「Citrix Summit」と併せ、計5日間に様々なセッションが開催される。

中でも目玉となっているのが、CitrixのCEO Mark Templetonによるキーノートスピーチ。
Mark Templeton

毎年、近い将来にリリースされる新製品や新サービスに加えて、Citrixが今後進むべき戦略が発表される。昨年は「PC」と言う言葉を、「Personal Computer」から「Public Cloud」「Private Cloud」「Personal Cloud」の「3PC」に再定義することで、「パソコンの時代」から「クラウドの時代」へのシフトを宣言した。

今年はどんな発表が行われるのか、Citrix社員である私達にもまだ知らされておらず、今から期待が高まっている。このブログでは、他のメディアに負けないくらいに素早く、Synergyのキーノートの内容をレポートするつもりだ。乞うご期待。


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以降は、San Francisco出張に関する個人的な雑感をランダムに。

・時差ぼけ
実はこのブログを書いているのは、現地時間の早朝5時ごろ。時差ぼけで早朝3時ごろに目が覚めてしまった。Synergyに参加するためにSan Franciscoを訪れるのは3年連続だが、毎度毎度時差ぼけの克服には頭を悩まされる。深夜に羽田を発つ便で着ているのだが、機内である程度眠ってきたので、早く目が覚めるのも当然か。実は昨年同じ便で来て、到着してからホテルでよく眠れるように機内で寝ないようにしたのだが、結局その目論見は外れてホテルで十分に眠れなかったので、今年は機内で素直に寝ることにした。さてこの先、時差ぼけの解消にどれくらいかかるものか・・・


・米国経済のバロメータ
San Francisocoの街角には、いわゆる「物乞い」が相当するいる。この数は、米国経済の状況をよく表していて、2年前に比べて1年前は「物乞い」が相当数増えていたことがよくわかった。つまり、1年前は米国経済がどん底で失業率もピークに達していたのだ。今年は去年よりは経済も失業率も回復しているはずで、それに伴って物乞いも減っているのではと予想される。夕方頃にユニオンスクエアからチャイナタウンまでを歩いた限りでは、確かに去年よりは減っていると感じた。今日の昼に改めて確認したい。


・一番寒い冬?
「トム・ソーヤの冒険」で有名な作家マーク・トウェインは、「私が体験した一番寒い冬は、 サンフランシスコの夏だ。」と言う名言(?)を残しているらしい。確かに、San Franciscoの「夜」は夏でもとても寒い。昼間はそこそこ暖かいこともあるので、急激な温度変化に対応しなければいけないのが難しいところ。風邪をひかないように気をつけなければ。


・もうデジカメはいらない?
iPhone 4Sのカメラは、暗いところでも実に綺麗に自然に撮れる。
San Francisco


iPadでプレゼン!~プレゼンを”演台”から解放するために~

昨日のエントリでは、「日本で行われるプレゼンでは、いまだに”演台”に後ろに立って行われるのが普通だが、もう演台は使わないようにしたい」と書いた。今日のエントリは、実際に演台を使わないための方法をいくつか紹介したい。

ガー・レイノルズは、「プレゼンテーション zen」の中で次のように書いている。

書見台はスピーカーを権威ある指導者のように見せる効果がある。それゆえ、政治家はたいてい書見台の後ろに立ってスピーチをしたがる。自分を「大物リーダー」に見せることが目的ならば、書見台を使ったほうが適切かもしれない。

だが私が理解する限り、日本で行われるプレゼンテーションで演台(書見台)が使われるのは、別に「権威ある指導者のように見せる」ためではない。誤解を恐れず乱暴な言い方をするならば、もっとずっとつまらない理由からである。

私が考える、日本で演台が使われる理由は下記の3つ。
1) 演台無しでのプレゼンは、まだ一般的でなく、何となく気恥ずかしい
2) パワーポイントのスライドショーの”操作”をするため
3) パワーポイントのスライドショーの”画面”を確認するため

それぞれ「傾向と対策」を考えてみよう。

演台の理由その1) 演台無しでのプレゼンが一般的でなく、何となく気恥ずかしい

これは「理由」と言うよりは、「言い訳」にしかならない。昨日のエントリで紹介した下記のような本は日本でもそこそこ売れていて、スティーブ・ジョブズのようなプレゼンをすることへの関心は高いはずだ。
ジョブズ&zen

さらには昨日も書いたように、欧米流の演台無しプレゼンの数々を紹介する「スーパープレゼンテーション」と番組がNHKテレビで放映されるようになったほどだ。

ジョブズやTEDのようなプレゼンをするには、それなりに習得の難しい技術があり、誰でも簡単に真似ができるわけではない。だが、「演台を無くす」と言うのは、ある意味もっとも簡単な”真似”の第一歩だろう。もちろん、ここでの”真似”は、決して悪い意味ではない。良いものは真似をするべきだ。そして、演台無しのプレゼンは、真似をすべき価値は十分にあると思う。



演台の理由その2) パワーポイントのスライドショーの”操作”をするため

これは、ちょっとしたお金をかけるだけで、一番簡単に解決可能な課題だ。パワーポイントスライドショーのリモコン操作をする機器はたくさん売られている。

例えばこれ。
コクヨのプレゼン用リモコン

Amazonでの購入はこちら。

「プレゼンテーション zen」では、下記のように書かれている。

コンピュータ用のリモコンは比較的安価であり、絶対的な必需品と言える。問答無用で手にいれるべきだ。現在スライド操作をリモコンで行っていないのであれば、リモコンを取り入れることによって、格段の違いが出てくる。

何をもって「高価 or 安価」と言うかは人によって判断が分かれるが、この種のリモコンは実際は安いものでも6,000円以上はするので、誰もが無条件に「安い」とは思わないかもしれない。正直言うと、私も買おうと思って値段を調べた挙句に買うのを躊躇した。

実はリモコンに関しては、もっとずっと安くすます「ワザ」がある。
iPhoneをPC操作用のリモコンに変えてしまう、iPhoneアプリがあるのだ。

複数あるようだが、私が購入して実際に使ってみたのがこれ。
PowerPointリモート
「PowerPoint用スライドショー・リモート」

アプリは450円で買えるので、iPhoneさえ持っていれば、「専用ハードウェアリモコン」よりも相当に安くつく。欠点は、「PCとの接続の面倒さ」だろうか。無線LANの設定や、PC側のアプリのインストール&設定など、それなりに難しいハードルを越えないと動作してくれない。加えて、iPhoneが画面ロックされると操作できなくなるので、時間による画面ロックを解除しておくことも必須だ。


さらに端折った方法として、「普通のワイヤレスマウスをリモコンとして使う」と言うテもある。これなら既に所有している人も多いはずだし、新規に購入するにしても、安いものなら1,000円以下で買えてしまうほど値段が下がってきている。
ワイヤレスマウス

欠点は、スライドショーを「進める」操作は出来ても、「戻す」などの他の操作がが出来ないこと。ただし、「戻す」操作などは滅多に使わないし、もしも必要になった場合はPCに戻れば良いので、この欠点は、それほど致命的なものではなさそうだ。実を言うと、私は上述のiPhoneアプリを購入してしばらく使ったが、最近ではもっぱら「普通のワイヤレスマウス」を、プレゼン時のリモコンとして使用していた。最後に残る欠点としては、「あまりカッコよくない」ことだろうか。


さらにもうひとつ、パワーポイントをリモート操作をするための方法を紹介したいのだが、これはもうひとつの課題(スライドショーの画面確認)の解決にもなるので、それと併せて紹介したい。



演台の理由その3) パワーポイントのスライドショーの”画面”を確認するため

これは演台無しプレゼンを実施するための、一番切実な「課題」だろう。スティーブ・ジョブズのプレゼンやTEDのプレゼンでは、聴衆が見るメインのスクリーンとは別に、「プレゼンターが見るためのモニタスクリーン」が用意されている。これは会場の制約もあるし、用意するにもそれなりの費用がかかるので、いつもこのような「専用モニタ」のある環境でプレゼンができるわけではない。

プレゼンター用のモニタ無しで「演台無しプレゼン」をやるのは無謀だろう。聴衆が見るのと同じモニタを後ろを向いて都度確認していては、「壁を取り除く」効果が全く無いどころか、逆効果になりかねない。


ひとつの解決案は、ノートPCを床の上か、せいぜい小型の椅子の上に置いて、それをプレゼンター用のモニタ画面とすることだ。

図に描くと、こんな感じ。
低い位置にノートPCを置く図

まずはこれが、最も現実的かつ汎用的な解だろう。「プレゼンテーション zen」の作者のガー・レイノルズの講演を実際に見たことがあるが、彼はまさにこの方法を使っていた。

この方法の課題のひとつは、プレゼン中の小さい字が読みにくいことだろうか。ただしこれは「課題」ではあっても「欠点」ではない。そもそもプレゼンのスライドショーに、小さな字を使うこと自体が間違いなのだ。この方法を使ってプレゼンターが読めない文字は、聴衆からも読めない。どんな場所からも読めるように文字を大きくする(そのために文字数そのものを少なくする)ことは、良いプレゼンのための重要な要素だ。

少し話はズレるが、「プロジェクタで読めないほど小さい文字」は、「演台ありプレゼン」と共に、日本で行われるプレゼンテーションではかなり多く見かける。「そんな場合は、手元の紙の資料を読め」と言うことらしいのだが、これも完全に間違った考え方だ。これがなぜ間違っているかを書き始めるとまた長くなるので、別の機会で。

ノートPCを低い位置に置くことのもうひとつの課題(こちらは欠点になりうる)は、プレゼンの途中にデモなどの他の操作をしたい場合に、非常にやりにくく、かつその姿が美しくないことだろうか。多くの場合は、スライドショーだけで済んでしまうので、これはそれほど欠点にはならないかもしれない。

実は今回、その僅かな欠点さえも解決する新しい方法を考えた!

それがこれ(イメージ)。
iPadを使ったプレゼン

iPadでスライドショーを動作させて、それをそのままプロジェクタに写そうと言うもの。
これなら、モニタとして画面の確認も出来るし、スライドショーの操作はもちろん、それ以外の操作もひととおりこなすことができる。実現するためには、いくつか課題もあるが、その課題もほぼ解決できたので、こうしてブログで報告できるようになった。


最初の課題は、iPadの画面をプロジェクタに写すこと。
そのこと自体は、Apple純正のVGAケーブルを使えば解決できる。
iPadとVGAケーブル

だが、アナログケーブルが延びたタブレットを持ちながらのプレゼンは、移動範囲に制約も多いし、なによりも美しくない。この課題は、多少のお金をかければ解決可能だ。

解決策はこれ。
Apple TV

現在1万円以下で売られているApple TVは、無線LAN経由でiPadの画面をそのまま出力する「AirPlay」と言う機能を備えている。
下記のような構成にすれば、ワイヤレスでiPadを持ちながらのプレゼンは可能だ。
AppleTVによるプレゼン構成

iPadでのスライドショー再生に関しては、iPad用のプレゼンアプリであるところの「Keynote」を使っても良いし、Citrix Receiverを使えばPower Pointも利用できる。


2番目の課題は、Apple TVの出力に(多くのプロジェクタで使われる)VGA出力が無く、HDMI出力しか無いこと。最近発売されているプロジェクタならHDMI入力を備えているので問題無いが、古いプロジェクタの多くはHDMI入力を備えていない。

実はこの課題は完全に解決できたとは言えなくて依然として試行錯誤中だ。HDMIからVGAへの変換アダプタもあるらしいのだが、そこそこの値段もするしうまく変換できるかどうかもアヤしそうなのでまだ試していない。(読者の皆さんで、変換アダプタの情報があれば是非お寄せください)


そんなこんなで、実際のプレゼンテーションの場(100人ほどの人たちに聞いていただけた)で実施した様子がこれ。
実際のプレゼンテーションの様子


実際にプレゼンの場で使って明らかになった課題が2つある(後述)が、まあうまく行ったのではないかと思っている。さらに課題を乗り越えて、このやり方を標準化してみたい。


解決すべき課題は次のA)B)2つ。
A) 舞台の造りが”演台無し”を前提にしていなかった
B) iPadを持ち続けることに不便さを感じた


iPadプレゼンの課題A) 舞台の造りが”演台無し”を前提にしていなかった
写真を見ていただければわかるように、この時の舞台の造りがそもそも演台とデモ操作用の机を使うことを前提としており、演台から離れてもデモ用の長机で腰から下が隠れるようになってしまった。長机からさらに離れてスクリーンの下に移動することも、全く出来ないわけではなかったが、「照明が当たらない」とのことで止められてしまった。

正しく「演台無しプレゼン」を行うためには、舞台設計からそれを前提として取り組む必要があるようだ。


iPadプレゼンの課題B) iPadを持ち続けることに不便さを感じた
専用リモコンや(リモコンとして動作する)iPhoneよりは、iPadは格段に重くて大きかった。手の平だけでは「掴んで持つ」ことが出来ないので、「手のひらに載せる」か「腕全体で包み込む」しかない。いずれの持ち方でも、長時間のプレゼンをやりながらはラクではなかった。また、自由な移動や「身ぶり手ぶり」も制限されてしまう。

その後いろいろ調べてみたら、こんなものが売られているのが判った。
iPadハンドヘルドケース
「Rev 360 for iPad」

6,600円らしいのだが、これは是非購入して試してみたい。



この通り、課題はいずれも解決可能なはずなので、次回にプレゼンする機会があれば早速試してみたい。単にTED風の「演台無しプレゼン」を実現するためだけでなく、自分自身の個性を出すための要素にもなるはずなので。



プレゼンを”演台”から解放しよう!

NHK教育テレビで「スーパープレゼンテーション」と言う番組が、この4月からスタートしている。この番組では、  様々な分野の人物がプレゼンテーションを行う「TED Conference」と言う講演会から、選りすぐりの講演(プレゼンテーション)を紹介してくれる。過去のプレゼンテーションは、こちらのTEDのサイトなどで見ることが出来る。それでもテレビの影響力はいまだに大きいので、こうしてNHKの番組で紹介してくれるのは、これまでTEDを知らなかった多くの日本人にもTEDを知ってもらえると言うことで、とても意義深いことだと思う。

私がTEDの存在を知ったのは、2011年の1月のことで、会社の社内トレーニングでTEDの中のひとつの記録映像を見せられたことがきっかけだ。その時のことは、こちらのエントリにまとめてある。


さてここからが今日の本題だが、NHKの番組で紹介されたTEDのプレゼンテーションを見ていて、改めて気づいたことがある。TEDのプレゼンテーションには、(日本で普通に行われるプレゼンテーションとは明らかに異なる)共通の特徴があるのだ。それは、「面白い」とか「うまい」とか言った判断の分かれる曖昧な特徴ではなく、誰でも必ず納得できる明々白々な特徴だ。それは・・・

誰一人「演台」を使っていない!
ということだ。
完全にプレゼンターの「全身」が、聴衆から見えるような形でプレゼンテーションが行われている。

例えばこれ。
TED Conferenceの様子


TEDのプレゼンテーションは、私が見た限りほとんどこのスタイルで行われている。
このような形で「全身を見せて」プレゼンテーションを行うことのメリットを考えるのが、今日のエントリの主題。


実は、あの有名人のプレゼンを扱ったこちらの本にも、「彼」が演台を使わない理由が書かれている。
「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン」
スティーブ・ジョブズ驚異のプレゼン
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スティーブ・ジョブズのプレゼンは、おそらくTEDのプレゼンよりも多くの人に見られているので、「ジョブズも演台を使わない」ことは、容易に思い出していただけるのではないか。ジョブズが演台を使わない理由を、本の中から引用してみよう。
ジョブズはめったに腕組みをしないし、演台の後ろに立つこともない。姿勢が常に「開いて」いるのだ。姿勢が開いているというのは、自分と聴衆の間に何もないことを意味する。
デモのときでさえ、ジョブズはコンピューターの隣に座り、聴衆が直接見えるように、また、聴衆から自分が直接見えるようにする。コンピュータを操作するときも終わったらすぐに聴衆のほうを向き、今、何をしたのかを説明する。アイコンタクトがない時間が長く続くことはまずない。1984年にマッキントッシュを発表したときの映像を見ればわかるが、昔はジョブズも演台の後ろに立っていた。その後まもなく演台を使わなくなって今にいたる。(例外は2005年にスタンフォード大学の卒業式で話をしたときくらいだ)。

ここで紹介されている「開いた姿勢」とは、自らの存在感を際立たせるために使われるジョブズ特有の技術のひとつである。~存在感を高めるジョブズのプレゼン技術には、他に「アイコンタクト」と「身ぶり手ぶり」があり、「開いた姿勢」と併せて「ジョブズ流の体を使った3つプレゼン技術」になるのだそうだ~ 

 演台と言う「ひとつの壁」を取り払って、全身を聴衆に見せ、さらに全身を使って表現すれば、聴衆はプレゼンターを身近にに感じられるようになり、聴衆の注意はそれだけプレゼンターに向けられる。もしもジョブズが「演台の後ろ」にずっと立ってプレゼンをしていることを想像して欲しい。それだけでジョブズのプレゼンの魅力がかなり失われてしまうのではないか。


さらには、こちらの本でも演台を使わないことが薦められている。
「プレゼンテーション zen」
プレゼンテーションZEN
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本の中の記述を引用してみよう。
(この本では、「書見台」と記述されているが、文脈から「演台=書見台」であると考えてよいだろう)
私は書見台があまり好きではない。書見台にもそれなりの長所があるし、それを使わざるを得ない場合もある。しかしほとんどの場合、書見台の後ろに立ってスピーチするのは、壁の後ろに立ってスピーチをするようなものである。 
書見台はスピーカーを権威ある指導者のように見せる効果がある。それゆえ、政治家はたいてい書見台の後ろに立ってスピーチをしたがる。自分を「大物リーダー」に見せることが目的ならば、書見台を使ったほうが適切かもしれない。しかし、大方は会議のプレゼンターや、講演者、営業マンである私たちにとって、壁の後ろに立つのは最も避けたいことである。また、書見台がステージの脇に設定されているケースも多い。その場合、プレゼンターが壁の後ろにいることに加えて、スライドが主役として注目を集めることになり、本人の存在が完全に脇役に成り下がってしまう。プレゼンターとスクリーンの両方を(人々の注目が集まる)中央に持ってくることも可能なはずだ。

別に「大物リーダー」に見せようとしているわけではないが、日本で行われる「プレゼンテーション」では、ほとんどの場合「演台」が使われる。
下記の写真は、昨年(2011年)のCitrixのイベントでの私自身の姿。
普通のプレゼン

この写真は、「悪いプレゼン」例だ!今日のエントリの一番上の、TEDの写真と比べて欲しい。プレゼンターと聴衆の間に「壁」があり、全身による「身ぶり手ぶり」も伝わりにくい。実は私の前には、Power Pointを操作するためのパソコンが置かれていて、それでデモなども出来たのだが、そのパソコンさえも「壁」で見えなくなっている。これでは、デモをやったとしても、どんな操作か聴衆には見えない。


これは何とかしたい!
日本でも「演台なしプレゼン」をもっと普及できないものか?


実は「演台なしプレゼン」を、より簡単に実施するためのアイデアを最近思いついた。このアイデアは、「そもそもなぜ日本ではプレゼンで演台が使われるのか?」と言う理由(事情?)を考慮したうえで、その事情からも解放されるように考えたつもりだ。

そしてこのアイデアを、実際のプレゼンの場(100人ほどの人たちに聞いていただけた)で既に試してみた。その「アイデア」の中身と、実施してみての顛末については、次回のエントリで説明したい。お楽しみに。


このBlogについて
シトリックス・システムズ・ジャパン
(株)
に勤務し、自社製品をこよなく愛する山田晃嗣のブログ。

このブログで表明されている見解は、私(山田晃嗣)個人のものであり、シトリックスによって承認されたものではありません。
また、必ずしもシトリックスの見解を反映したものでもありません。
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